【学習とは違う独学について知る】
哲学・宗教に関する多くの啓蒙書で知られる著者の経験をもとに、真の教養を身につける独学術について語る一冊です。
『本書は、自分で勉強しようにもどこか不安でおぼつかない感じを持っている人に勇気と指針とコツを与えることを目的とする。』
独学術について 学び方と楽しさについて知る
『独学術』では、どんな分野においても変わらない、
自分の知識を深めていくような学び方や思考について紹介をしている一冊です。
勉学は独学にかぎると題する1章から始まり、
難しい本の読み方や教養とは何か、外国語の独学法など、
著者の白取春彦氏の経験や学びに対する姿勢を交えながら紹介されていきます。
本書の中で教養について、
「勉強をするということではなく、知識や知恵を現実の行いに生かすこと」だと書かれています。
この教養を身につけていくような独学について本書では、
難しい本を読む方法から考える力、疑問に思ったことを調べる力などから紹介しています。
また、一見実用性がないと思われそうな知識の重要性にも触れています。
例えば本書の中で、世界のことをより知るためには一度聖書を読んでみるべきだと書かれています。
「なぜ聖書を?」と思う方もいらっしゃると思います。
聖書を読むべきだとしているのは、世界の重要な書物や考え方は聖書を元に常識として踏まえているからという理由があるからです。
世界のことをより知るために、まず現代の価値観の基礎となっている聖書を読んでおくべきだと本書では推奨しています。
この聖書の話のように、一見生活の中ですぐに活かされるような知識ではなくても、
後々別の情報と合わせて別の形で役立つことがあることにも触れています。
本書のポイント 知識を自分のものにする方法を紹介する一冊
『本書を読んだ方はすでにわかっているだろう。これは独学の方法論やハウツーではなく、独学の姿勢をわたしなりに説いた本だ。』(独学術あとがきより)
著者のあとがきに書かれているように、
必要な単語や数式を覚えるような学校の勉強方とは違う独学について紹介している一冊です。
勉強したことをより自分のものにする方法、生きた知識にしていくような独学を紹介しています。
独学の仕方についても
「難しい本は読み切らなくてもいい」
「難しい本は眺め読み」
などユニークな取り組み方も紹介され、
勉強の本来のおもしろさに気づけるように工夫して取り組める方法を書いています。
独学のポイントとして、自分から疑問に持ち調べて考えていくことの重要さも書かれています。
自分で疑問に思い調べるような機会は、実は大人になってからの方が多いのではないでしょうか。
小・中・高校のような、学校の課題は程度答えが決まっているようなことが多いと思います。
しかし、大人になって社会に出てみると、答えが決まっていないようなことがたくさんあります。
まだ誰も取り組んでいない新しいプロジェクトや教育の機会、自分自身の進路をどうするかなど、自分で考えて行動していかないといけないような場面が多々あると思います。
そういう時に役立つような、疑問に持ちより深く考えて行動できるような思考や独学方法を身につけることの大切さを繰り返し本書の中で触れています。
身の回りのことや何か新しく知ったことに対して様々な形で疑問を持ち、
調べて自分の知識として落としこんでいくことで
今まで気づかなかった新しい世界に気づくきっかけになるのではないでしょうか?
ただ資格の取得や受験のために頭に詰め込んでいくような独学ではなく、
知識を自分のものにして、より自分や周りの人たちに役立つような知識や教養を身につけていく方法を知る一冊です。
書籍情報
【タイトル】独学術
【著者】白取春彦 (シラトリ ハルヒコ)
【ページ数】184ページ
【シリーズ名】ディスカヴァー携書
【出版社】株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
【出版年】2012年9月14日
【価格】 ¥1,000 +税
ISBN-10 : 4799312251
ISBN-13 : 978-4799312254
【目次】
第1章 勉学は独学にかぎる
第2章 難解な本を読むコツ
第3章 教養を身につける
第4章 外国語の独学法
第5章 考える技術・調べる技術
【キーワード】独学,教養,学習法